2019-08-06

【設計契約】「設計契約等業務委託約款」とは。


ゆうです^^

エスネルデザインでは、設計監理契約書に

「建築設計・監理業務委託契約約款

という約款を添付しています。

これから契約を結ぶ建て主様に向けて、簡単に約款の説明をさせて頂きます。


※民法改正により一部修正(2020.3.26)
(「瑕疵」→「契約不適合」)




まず、「約款」とはなにか?


約款は、
「著作権の帰属」「契約の解除の方法」など、契約の詳細条項について書かれいて「契約書の注釈」のようなものです^^

基本的に買い主様に不利益が及ばないような契約となるようまとめられています。



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約款は自由に作成することができ、メーカーは専用の約款を備えている場合もあります。

ただしその場合、「買主(自分)に不利益が及ばないかどうか」を全文読んで確かめなければいきません。


そう言った必要がないようエスネルデザインでは、

四会連合協定約款という公に使用されている約款を使用しています。

(四会…日本建築士会連合会、日本建築士事務所協会連合会、日本建築家協会、日本建設業連合会)



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それでは、約款の内容について!

※噛み砕いた表現のため正確性に欠ける部分あり。
(あくまで約款の条文が優先)

※約款の本文は著作権の関係で記載しません。




【第1条〈総則〉】

→法令順守、誠実に業務を行うこと、報酬を支払うこと。



【第2条〈設計業務及び監理業務の進め方〉】

→必要な情報提供、説明・報告などをすること。



【第3条〈権利・義務の譲渡の禁止〉】

→権利・義務を第三者に譲渡することの禁止。



【第4条〈秘密の保持〉】

→個人情報等の漏洩の禁止。



【第5条〈著作権の帰属〉】

→設計図書・完成建物の著作権は設計事務所が持つ。



【第6条〈著作物の利用、著作者人格権の制限〉】

→建て主様は、
・設計図書を利用して建物を完成することが出来る。
・必要に応じて設計図書を複製、修正することが出来る。
・完成した建物を写真などの媒体で表現することが出来る。
・増築、改築などすることが出来る。
・設計図書、完成建物の内容を公表することが出来る。

→設計事務所は下記の場合、建て主様の承諾を得なければならない。
・設計図書、完成建物の内容を公表する場合
・完成建物に設計事務所の実名を表示する場合
 


【第7条〈著作権の譲渡禁止〉】

→設計図書・完成建物の著作権の譲渡の禁止。



【第8条〈再委託〉】

→設計事務所が委託業務の全部を下請けに委託することの禁止。
(一部委託する場合は建て主様の承諾が必要)



【第9条〈設計業務及び監理業務の追加、変更等〉】

→建て主様は業務に対して追加・変更依頼ができる。
(+必要な場合、報酬変更・期間変更あり)



【第10条〈受託者の請求による設計事務所または監理業務の履行機関の延長及び業務報酬の増額〉】

→天災や戦争など、設計事務所の責めに帰すことの出来ないなにかが起きた場合、業務期間の延長や報酬の増額を請求することが出来る。



【第11条〈設計業務及び監理業務の報酬の支払〉】

→建て主様は業務完了後、報酬を支払うこと。
どちらのせいでもなく業務遂行が不可能となった場合、出来高の請求が出来る。



【第12条〈委託者・受託者の債務不履行責任〉】

→相手の原因で債務不履行となった場合、相手に賠償請求できる。



【第13条〈設計業務の成果物の内容に契約不適合があった場合の受託者の責任〉】

→設計した建物に契約不適合があった場合、適合するよう請求できる。
(条件、期限あり)



【第14条〈解除権の行使〉】

→建て主様は業務期間中いつでも契約を解除できる。

 設計事務所の原因で業務期間内に業務が完了しない場合
 設計事務所の原因で契約の維持が出来ない場合
 設計事務所が契約違反し、催告しても是正されない場合
 設計事務所が暴力団と関係があった場合

・損害を受けている場合、相手に賠償請求できる。
(未完成の部分は不可)



【第15条〈解除の効果〉】

→契約を解除した場合、
・建て主様は、それまでに設計事務所から交付されている成果物を利用できる。
・設計事務所は、出来高を請求できる。



【第16条〈保険〉】

→設計事務所は、業務債務を担保する保険に入っている場合、建て主様に説明する。

※エスネルデザインは「賠償責任保険」に加入しています。

万が一の際の保険について「建築士事務所賠償責任保険」



【第17条〈紛争の解決〉】

→紛争が生じた場合、それぞれ民事調停・仲裁申し立てが出来る。



【第18条〈契約外の事項〉】

→約款に定められていない事項は協議して定めること。




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ざっくりと説明させて頂きました^^


約款に書かれた内容は「万が一」の話にはなりますが、万が一が起きることも想定して契約書一式を作成しております。


※実は、述べ床面積300㎡以下の建物の設計監理業務は契約書を交わす法的な義務はありません。
それでも約款も付して契約を交わすのは建て主様の万が一の不利益を避けるため。




堅苦しい話になりましたが、契約前の参考になれば幸いです。

不明点などある場合は、お気軽にお聞き頂ければと思いますm(__)m



-「超高断熱の小さな木の家」escnel design-





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村松 悠一 一級建築士
エスネルデザイン代表

新潟の気候に合った「暖かい小さな家(エスネル)」を提案している。
趣味:旅行、カフェ、夕日、1歳の息子と遊ぶこと。



メッセージはメールインスタからどうぞ^^


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