2019-03-22

【秘訣】液状化の判定について。「地盤補強の効果」


ゆうです。

前回、地盤補強についてまとめました。

今回は液状化について。

「自分の土地はどれほど液状化のリスクがあるのか。」

「対策はどのようにとれば良いのか。」

まとめていきます。




【液状化】とは................
地震の際に、地下水位の高い砂質地盤が振動により液体状になる現象。
地中の水と砂が地面に噴き出し、建物が地中に埋もれ傾き被害を及ぼす。
1964年に発生した新潟地震で液状化が発生し、地震時の現象として注目されるようになった。
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さて、新潟のように海が近く砂質土が堆積して出来た土地は「液状化」のリスクを検討する必要があります。

2007年の柏崎での「中越沖地震」も多くの建物やインフラが液状化の被害にあいました。

液状化により地面が下がり段差が出来た柏崎のデパート(フォンジェ)。



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さて、
「液状化の簡易判定①」広域情報から判定します。


新潟市の液状化のしやすさ(広域情報)は
「新潟県内の液状化しやすさマップ」で確認することが出来ます。

新潟県内の液状化しやすさマップ

このマップによると、新潟市中央区は下記の状態。

海抜の高いエリアの危険度は低いが、海抜ゼロメートル付近は危険度がとても高いとされている。

地盤調査会社からの判定結果。
液状化マップの他に「地形などからの概略判定」も行われる。



※標高(海抜高さ)はこちらのサイトで見ることが出来る。
地理院地図
また、新潟市役所のHPには「地盤高」が色分けされてまとめられたデータがある。
新潟市役所HP「地盤高図(標高図)」より。



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続いて、
「液状化の簡易判定②」個別情報(地盤調査の結果)から判定します。


ある土地の地盤調査結果。
液状化の簡易判定では「地面から深さ-5.0mまでの地下水位よりも下部」の内容で判定される。
(地下水位:約-2.0m)
(地盤~-1.25m:砂質土。-1.5~-5.0:粘性土)

スウェーデン式サウンディング試験ではロッドの穴に水位測定器を入れ、地下水位を計測する。

また、穴内の土を採取(サンプリング)することで砂質土と粘性土の位置の測定精度を高める。
(一般的には土質は推測のみ)




液状化は、

・地盤が砂質土

・地下水位より下部

・強い地震が起きた時に発生確率が高まります。

また、木造住宅が液状化被害を受けやすいのは、 地面から-5mまでに液状化層がある場合とされています。
(「小規模建築物基礎設計指針」より)



これらを加味して判定すると、

個別判定を見ると、地下水位より下部は粘性土しかないため「液状化の影響は小」となる。
(表層の砂質土は地下水位より上部なので液状化しない)



総合判定として、
広域判定を見ると液状化の可能性が高い地域だが、個別判定を見ると液状化の影響は小さいと推測される。
(スウェーデン式サウンディング試験による簡易判定)




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これらの結果を建て主様にご説明し、どのような地盤補強、液状化対策を施すか検討していきます。



また、柱状改良などの地盤補強は、液状化対策に効果を発揮すると考えられています。


「建築物のための改良地盤の設計及び品詞管理指針(日本建築センター)」より................

2003年の十勝沖地震では、地盤改良を行っていない周辺宅地は液状化したにも関わらず、地盤改良を行った住宅は被害を免れました。

また、2004年の中越地震では、深層混合処理(柱状改良)を採用した住宅では、沈下障害は生じなかったが、近隣における住宅では直接基礎であったため30cm以上の不同沈下が生じた事例も紹介されています。

地震時の液状化対策工法として、深層混合処理(柱状改良)がどの程度、効果があるのかを評価できる厳密な設計法はありませんが、直接基礎に比べて、建物被害を軽減することに効果があると言えそうです。

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日経ホームビルダー2017.3月号より。
熊本地震での被害調査の様子。

「柱状改良をしていた住宅は、建物の損傷や傾斜は比較的少なかった。」
「結果論ではあるが、地盤補強が地震による不同沈下を軽減した可能性はある。」

 と書かれている。

記事の詳細は日経ホームビルダーのご購入をお勧めします。



※地震の規模や揺れ方、建物の形状や重さなど様々な要因が関係しあうため「柱状改良が液状化に対して確実に効果がある」と言い切ることは出来ない。




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今回の土地の地盤補強・液状化対策をまとめると、

①建築学会の指針では地面から-5mまでの液状化層が木造住宅に影響を与えるとしているため、液状化の影響は少ないと考えられる。


②柱状改良は不同沈下対策として必要。
この柱状改良が液状化による地盤沈下にも効果を発揮するかもしれない。
(液状化対策としては、改良杭は支持層まで、または地面-5.0m以深まで到達させるとより良い)


③地震保険に加入することで、液状化による不同沈下復旧費用を対策しておくことは可能。
(地盤補強工事の保証は「天災による不同沈下は免責」のため、地震保険で対応する)
(どこまで対策されるかは建て主様のご判断による)





【余談】................

砕石パイルを使い、地盤補強と共に液状化対策が出来るという地盤補強工法がある。

地盤の専門家の方に効果のほどを伺ったところ、
「液状化対策として機能するかは不明。」との回答を頂いた。

また、液状化対策効果を出すにはオプション工事が必要のよう。
また、聞いた話では大手ハウスメーカーで採用している会社はないらしい。
(未確認あり)




【さらに余談】................

建築時に費用をかけ、より高度な液状化対策を行い(地面深くの支持層まで杭を設置するなど)地震時に液状化が起きても建物が傾かなかった場合、「地震保険がおりない」ということが起こるケースもある。
(熊本地震では傾きがない場合「支援金がもらえなかった」ケースもあったよう)

建物は傾かずとも、地盤が沈下すれば「排水管などの修理」「建物と下がった地盤の間に土を入れる工事」など費用はかかる。

地震時に、家は傾かないほうが良いのか、傾いたほうが良いのか。
それは何と言うことも出来ない。
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