2018-04-13

設計事務所の仕事『模型作成・日当たり検討』‐case.S邸‐


ゆうです^^

「設計事務所ってどういう仕事をしてくれるの?」

「ハウスメーカーとどう違うの?」

という疑問があると思います。

様々違うのですが回を分けて、設計事務所がどんな仕事をしているのか。

書いていきたいと思います。

まずは『模型作成・日当たり検討』です。



エスネルデザインでは、基本プランがある程度固まったら模型を作成します。

これは

紙に書いた図面では、実際の大きさなどのスケール感がつかみきれない

からです。

また、「手に取っていろいろ眺めて(ワクワク)してほしい。」という僕の願いもあります^^

(僕だったら「家を建てる前にイメージをつかみたいし模型も見てみたい。子供がいるなら子供と一緒にワクワクしたい」から。)



しかし、模型作成はなかなかの手間ひまがかかります(^^;)

1/50というサイズならなおさら。
(1/50は、家の幅が10mのとき、模型の幅は20cmになる。)

さてさて、模型はどんな風に作られるのでしょうか。

まずは平面図をプリントして「スチレンボード」にテーピングする。

画材販売.jpさんより)
スチレンボードとは発泡スチロールの両面に紙が貼られたもの。
厚さはいろいろある。(1/50模型では3㎜厚を使用)

30°カッターやスチール定規、スコヤ(90°の定規)、マスキングテープなどを使う。

壁や床を切っていく。

窓を切るのは結構大変(^^;)
しかしここの出来(切れ具合)が完成時の印象を左右する。

内部の壁も切り抜き床に立てていく。(幅2㎜の両面テープ使用)

階段完成。(階段が一番大変かも。)
ここまで終われば気持ち的には「あと半分。」

外壁を建て込む。
角の部分にボードの断面が出ないように工夫します。


どうしているかと言うと、、、

通称「一枚残し」という紙一枚を残して切り落とす作業をします。

きれいに角を落とし切れました^^
(外壁の窓を切り終わった後に、一枚残しで失敗すると、、、大変。)

両面テープを付けて建て込みます。

きれいに納まりました^^
建築はこういうことの連続。難しく、それが面白い♪

1階がおよそ出来てきました。(キッチンなども少し大変)

全て1枚のスチレンボードから部材を切り出していく。

作業机の様子。(正面の屋根は小屋のもの)

2階と屋根も出来上がりました。

屋根は「寄棟」だったので少し手こずる。

建物部分が出来た!

敷地と外構を作る。 (車や人なども)

完成^^!
(所要時間はだいたい2~3日くらい。)





続いては、、、

模型を外に置いて内部の日当たりの確認・検討♪
赤丸部分に示した方位と実際の方位を合わせる。

日時は3/25(ほぼ春分)の14時。
模型の日当たりを見ることで実際の家の日当たりを確認することが出来る。

南(南西)面に設けるの吹き抜けを通して日が奥まで入り込む。

南から家を眺める。
S邸は東南角地で日当たりは抜群。

午後になると東面は日陰になる。
しかし、南面に大きな窓を設けることでリビングの明るさを確保する。

吹き抜けからの光で奥にあるキッチンまで明るくなるよう考える。

人間の目線から家を見る。
この距離だと屋根はほとんど見えないことが模型でわかる。

道路からの目線。
この南の角のデザインがS邸の外観のキモ。
『角地の品格』というものを考えて設計したい。

北面(右)も日中は日が入らず暗くなりがち。
明るさを確保する工夫が必要。

 西面は午後から日差しが入り込む。
(実際は隣地の影響も考慮して検討する。)


洗濯物を干す部屋にカーポートの上から日が差し込むことを確認する。

2階平面。昼過ぎの日当たり。

吹き抜けに設けた『雲見室』が今回のプランのポイント。
晴れた日にはここのソファからボーっと雲を眺めてみたい。

雲見室は布団干し場、そして耐震上の役割も果たす。
用途がないようでしっかり意味がある部屋。

階段の上にはなにやら小部屋が。
家の中でたまには一人で「こもれる部屋」を作りたいという想いから。

1階平面。 昼過ぎの日当たり。

僕は経験上『採光が与える幸せ感』というものを重視している。
家族が集まるリビングは出来るだけ自然光で明るくしてあげたい。
(子供の成長や性格も採光で変わってくると思っている。)




午後の日当たりはおよそ確認出来ました^^

続いて翌日に朝の日当たりの確認を。

3/26 7:30。家族が一緒に朝ごはんを食べる時間を想定。

朝は東面にしっかり朝日が当たる。
(道路沿いのため隣家の影響少)


朝のリビング。
キッチンやダイニングテーブルに自然光が当たる。(カーテンで調整可)
S邸はリノベーションをする上で理想的な条件を満たしていた。

僕は、家で一番日当たりが良い場所にはリビングではなく「ダイニング」が良いかなと思っている。
日中に家族がそろうのは朝だけ。明るい食卓で家族で朝を過ごしたい。

東面の朝日がたっぷり入る子供部屋。
子供部屋も同様に朝日が入る一番良い場所に計画したい。

2階平面。朝の日当たり。

「雲見室」に差し込む朝日。

2階西側の寝室から。
戸を開け放つと東から光が伸びてくる。

真上から。
横からの光で陰影が際立ち、寄棟の屋根が映える。

朝の家の正面。日を浴びたシンボルツリーが良い感じ^^

西側は朝は暗くなりがち。
実際は、隣家からの反射も多少ある。

北(北東)面にも朝日が当たる。
洗面室は北側になりがちなので少しでも日を入れてあげられるよう計画したい。

自然光が入り込む洗面室。(中央上)
朝、顔を洗ったり整髪・化粧したりするときにこの明るさがどれほどありがたいか。




、、、



と、言ったことを模型を作ってみて検討します^^

もちろん日当たりなどは設計者は経験上、模型を作らずともおよそ想像できます。

また、3Dパースで確認することも出来ます。


ではなんのため?


それは、住まわれる方が模型を敷地に持っていき、


「この季節はこんな日が入るんだねー。」


と家族で見てもらうためです。


そういうことのひとつ一つが家族の思い出になっていくんだと思っています^^


一生に一度の家づくりをワクワクしながら一緒に進めていけたらいいなと考えています。


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村松 悠一(ゆう)
エスネルデザイン代表(設計士)

模型で好きな工程:外壁の建て込み。

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