2018-01-11

S邸リノベーション。17「サーモグラフィ調査①『注意点』。」


皆さんはサーモグラフィーカメラというものをご存知でしょうか^^

写真を取ると温度が色分けされ温度分布が可視化できるカメラです。

このカメラを使うと、建物の温度分布が調査できます。




精度の高いものは何十万円もするため日常的に使用することは難しいのですが、

近年、スマホに接続してしようできる割安のサーモカメラが販売されてきました。

「FLIR ONE サーモカメラ」3~4万円ほど。



先日、現在勤めている事務所のものを借りて、S邸のサーモグラフィ調査に行ってきました。

また、築35年オーバーの我が家の様子も調査しました。

次回からその報告をしていこうと思います^^


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今回はそれに先立ち、サーモカメラで撮った画像を見るときの注意点をお伝えします。


①表示される温度の精度にバラツキがある。

高精度のサーモカメラだと精度が高いのでしょうが、割安のFLIR ONEは精度にばらつきあり、±3~4度ほどの誤差がでます。
なので、正確な温度把握という使い方ではなく、相対的な温度差を見るのに適していると言えます。

暖房前のS邸リビングのサーモ画像。
暖房していないので、当然壁も床も天井もほとんど同じ温度。

上の画像の左側の窓下の温度(スポット1)は8度と出ていますね。

では、同じ部分を精度の高い放射温度計で測ってみると、、、


4.8度です。およそ3度の差がありますね。

これは、センサーの精度や放射率等の細かい設定の違いから発生する誤差です。

やっかいなのはこの誤差が常に一定ではなく、

温度が合っているときもあれば、4度ズレるときもある。

ということ。

なので、あくまでサーモカメラはおおまかな温度(差)をつかむものと考えておいたほうが無難です。

(正確な温度が知りたい場合はカメラではなく放射温度計で測る)




続いての注意点は、


②温度差の印象操作が容易にできてしまう!


実は『精度』よりもこっちのほうがはるかに注意が必要です!


どういうことかと言うと、、、


このサーモ画像を見てどう思われたでしょうか。


「床が冷たそう!」「足が冷えそう!」「不快そう!」


と言ったところではないでしょうか。



では続いてこちら。


どうでしょうか。


「床まで温まっていそう。」「断熱性が高いのかなー。」「快適そう。」


といった感じでしょうか。



気づかれた方もいると思いますが、

これ、同じ温度状態の写真なんです!!


タネあかしをすると、

温度の色分けを変えているんです。


上の3枚は全て同じ画像を編集しているものです。

右下の赤四角で囲ったところが最低温度の設定です。

最低温度を何度にするかを変えることで、

同じ温度でも青く表示したり、黄色く表示したりすることが操作できるんです。

便利な機能ではあるのですが、

読み手にもそれなりの知識や経験がないと第一印象で勘違いを起こしてしまいます。

意図的に勘違いを起こさせることも容易ということです!

本当は低断熱住宅なのに、操作したサーモ画像をパッと見せられて、

「当社の住宅はこれだけ暖かいんですよ!」

と言われても気づけないですよね。


サーモ画像に、温度バー(右端の温度と表示色の関係を示したバー)があればまだ良いほうです。

温度バーがあれば、まだ読み解くことができます。

しかし、温度バーがなく文章のみで説明されたサーモ画像には注意が必要です!


これからサーモカメラが一般的になるに従い、サーモ画像を見る機会が増えていくかもしれませんが、これだけ頭の片隅に入れておいてください。


『サーモ画像を見るときは注意が必要。』


①表示された温度が正確でない場合がある。


②実際の温度と表示された色の印象に差がある場合がある。





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と、予想したとおり長くなってしまいました。

サーモ画像を載せる場合、勘違いを起こさせないよう温度などの条件をわかりやすく説明する必要があり、そこが難しいところですね。

S邸のサーモ調査の報告は次回に続きます。

S邸外観写真。(温度バーなし。無暖房)
建物表面が温まっているかのようなサーモ画像になっている。
(とても冷たい空の温度と、外壁温度にある差を極端に示しているため)

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