2019-03-20

【秘訣】地盤補強の要不要の判定。「地盤調査結果を読み解く」


ゆうです。

地盤補強という工事についてお話します。

家を建てる土地が軟弱である場合、建てた家が傾いてしまう恐れがあります。

そうならないよう建築前に地盤を調査し、軟弱地盤であれば必要な地盤補強を行います。

その際の「地盤補強の要不要の判定」はどのようにして行われているのでしょうか。




「地盤補強の要不要の判定」について説明する前に、
「地盤調査」をする必要があるのかどうかまとめます。


段階的な説明になりますが、

【建築基準法】では、
建築物の基礎について地盤の沈下または変形に対して構造耐力上安全なものとすることを求めています。


また、
【品質確保促進法(品確法)】で、
新築住宅の基本構造部分の瑕疵担保責任期間を「10年間義務化」することが求められました。


また、
【瑕疵担保履行法】で、
瑕疵担保責任を全うするため、建築業者に「保険加入による資力確保」が義務付けられました。


そして、その保険に入ためには、
「適切に地盤の安全性の判断がなされていることの確認」が必要となるため、地盤調査は実質義務化されています。

※地盤調査を行わなかった場合、基本的に瑕疵担保保険に加入出来ない。

法令に関してはこちらのサイトが分かりやすい。
住宅地盤に関する法令 | NPO 住宅地盤品質協会



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具体的に「地盤補強の要不要」について「地盤調査結果」を読み解いていきます。

地盤調査会社によりまとめられた敷地の情報。
地盤補強の要不要は、調査数値だけでなく、敷地の前歴造成の経過年数近隣状況地下水位などを加味し、総合的に判断される。

地盤調査結果(例)
(下の列に行くに連れ、深さが増していく)
表から「地面~-1.25mまでは砂質土」「~-5.75mまでは粘性土」「-6.0以下は砂質土」であることが分かる。



調査結果からまず「自沈層があるかどうかの確認」を行います。


「自沈層」とは建物が沈みやすい軟弱な地層のこと。

具体的には、スウェーデン式サウンディング試験のロッドが

・基礎底面から深さ2mの間で1kN(≒100kg)以下の荷重で沈下する層。

もしくは

・深さ2mから深さ5mの間で0.5kN(≒50kg)以下の荷重で沈下する層。
(深くなるにつれ荷重が分散するため検定荷重は少なくなる)


それらの層があるかどうか見ていきます。

基礎底面~深さ2mで1kN以下で沈下する層がある。(赤丸)
また、深さ2m~深さ5mで0.5kN以下の荷重で沈下する層もある。(青丸)



「自沈層あり」のため、続いて「沈下の検討」を行います。

【粘性土】:圧密沈下量・傾斜角が許容範囲内かどうかの判定。

【砂質土】:即時沈下量・液状化の判定。


軟弱な粘性土の場合、家の重さに押されて、土の内部の水分が押し出され、地面が下がっていくことがあります。(圧密沈下)

その際、家の四隅でまちまちに沈下した場合、家が傾いてしまいます。


そうならないよう沈下量が許容範囲内か判定します。

砂質土の場合、即時沈下は住宅ではあまり問題になりませんが、「液状化」には注意が必要です。
(液状化については別にまとめます)



では、沈下の程度を見てみましょう。

地盤調査会社からの検定結果。
許容値に対して「長期許容応力度(地盤の強さ)」「圧密沈下量」「傾斜角」NGとなっている。



これらの結果を基に地盤補強の要不要の所見がまとめられる。

「不同沈下の発生が懸念されるため、地盤補強必要。



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大まかにですが、地盤補強の要不要の判定はこのようにして行われます。

ここから先の「どのような種類の改良」「どの程度」行うかは、

・設計者が設定した必要な地盤の強さ
・現状の地盤の強さ
・改良体の支持力(先端支持力、摩擦力)
・コスト

などを加味して算出、選定されていきます。


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家の構造計算に問題がなくとも、地盤に問題があれば元も子もありません。

必要な調査を行い、その調査内容を読み解ける設計者が必要な地盤補強を検討していきます。


-「超高断熱の小さな木の家」escnel design-


【参考サイト】................

ジャパンホームシールドさんの「地盤サポートマップ」では、そのエリアのおよその地盤の強さの把握や、防災情報を確認することが出来ます。


【網川原のエスネル‐09】地盤補強「柱状改良工事」!

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