2020-04-18

「空間のアウトソーシング。」再考①『換気の重要性』。covid-19 update



『空間のアウトソーシング』再考。


エスネルデザインでは『空間のアウトソーシング』という考え方を提唱している。


「家に必須なもの、家以外で代替できるもの」を検討し、代替できるものはアウトソーシングすることも有効

という考え。


今回の新型コロナウイルスを経験して、再考してみたいと思います。





『空間のアウトソーシング』は、エスネルデザインの設計思想の根幹のひとつです。

家の機能の一部を、街と『共有』するという考え方。


必要以上の支出を抑えるために。
(家計にゆとりを持たせるために)

より完成度の高いもの、本物を感じるために。

街と場所を共有することは、他者とのふれあいも促進する。


「家に必ずいるもの」と「外で代替できるもの」を検討して『家』を再構築する。


例えば

『図書館やカフェに「書斎」をアウトソーシング』したり。

『公園や古民家に「庭」や「縁側」をアウトソーシング』したり。

『ホテルや民泊に「客間(宿泊用)」をアウトソーシング』したり。


それにより、家の面積を抑える、必要な設備を抑える。

住にかかるイニシャルコスト、ランニングコスト、メンテナンスコストを抑える。

それにより『家計にゆとり』を生み出す。


特に、ランニングコスト、メンテナンスコストは甘く見てはいけない。

生涯的なゆとりを確保するために

『空間のアウトソーシング。』

『必要十分な超高断熱の小さな家。』

は暮らしを豊かにするひとつの解だと思っています。


豊かな暮らしのつくり方。17 ー『家を建ててからかかる費用の差。』ー
豊かな暮らしのつくり方。20 ー『家に必要なもの〈初心に返る〉』ー
「空間のアウトソーシング。」必要十分な家づくりを。


さて、今回の新型コロナウイルスを経験して

『アウトソーシング出来るもの、出来ないもの(すべきでないもの)』

を再考したいと思います。


上記の「豊かな暮らしのつくり方。20 『家に必要なもの〈初心に返る〉』」にも書いた通り、

家が果たすべき一番の役割は

「最低限のシェルター機能」

です。


雨風がしのげること。外敵が容易に侵入できないこと。

ひとことで言えば「安全、安心の担保」。

それは、どんな家を建ててもある程度問題ないと考えていました。


しかし、今回の新型コロナウイルスにより

『長期間、自宅に留まることを求められる』ことがあること分かりました。

また『換気の重要性』が訴えられています。


新型コロナウイルスが終息したとしても

今後、同じことが起こらないわけではありません。

むしろ、起きることを想定した設計が求められます。


新型コロナウイルスから多くを学ばなければいけません。

それは未来の防災、減災、につなげるため。

今、学び、活かすことが求められていると考えています。





では、これからの家はどうあるべきか。


安全性。

心身の快適性。

備蓄性。

換気性。



「そもそも家を建てて良いのか。」

(経済的な先行き不安)


もしくは

「むしろ、家を建てておかないとまずいのか。」

(安全な住環境の確保、ローンが借りられなくなるリスク、家が生命保険的役割を果たすこと)


という問いも生まれてくる。


すぐに答えを出す必要はないが、これから真剣に考えていく必要がある。

住宅提供者は「なにも考えずにただ売る」ことは避けなければならない。

それぞれの家族の状況により、ベストな答えは変わってくる。

信頼できるファイナンシャルプランナーとの協業など、真剣に建て主様のことを考えて様々な選択肢を提示することが求められるだろう。





さて、新型コロナウイルスを経験した上で再考する『これから望まれる家』とは。


まずは

・計画換気を設計通りに行える家。

→設計通りの換気が行えるよう住宅の高気密化がより望まれる。

→設計者の換気設計の習熟も望まれる。



そして

・第一種換気方式の採用。
(第一種=機械により給気する方式※熱交換の有無は関係なし)

→機械(ファン)により、新鮮空気を室内に入れるということ。
(「第三種=機械でなく給気穴から給気する方式」ではないということ)


機械給気のメリットは

新鮮空気量を確実に確保できる。

→設計通りの換気が行える。
(第三種の場合、内外圧力差からの影響あり)

・高性能フィルターを活用できる。
(第三種にもフィルターありタイプはあるが、空気抵抗を考慮すると適正な給気量が確保できるかは疑問)


エスネルデザイン標準採用の給気扇(2020.4現在)。

機械式であること、低コスト、低騒音、交換容易、フィルター取付可、などのメリットを考慮。

設計士は、様々ある検討点を総合的に判断し諸々を選定している。

標準は「高性能除じんフィルター」付きのもの。
チリ、ホコリ、花粉などの侵入を抑制する。

必要に応じて「微小粒子用高性能フィルター」に交換も可能。
黄砂やPM2.5などの侵入を抑制できる。

※ウイルスはさらに微小なため、除去は確認できていないというメーカーの記載あり。
(しかし、フィルターなしの給気穴よりは、良いのではないかと想像)



余談だが、第一種換気扇を熱交換あり換気扇と混同しているプロも多い。

空調換気設計は甘く考えられがちだが、快適性にも安全性にも非常に影響が大きいという認識が必要。



また、エスネルデザインでは基本的に熱交換型換気扇を勧めていない。

それは、端的に言えば「適切な維持管理がなされるか心配」だから。

熱交換素子を適切にお手入れ・交換できる人がどれほどいるだろうか。
(僕は自信がない)

マスクを綺麗に保つ必要があるように、それらも綺麗に保つ必要がある。


また「適切な維持管理がなされなかったときのリスク」も心配している。

給気口は新鮮空気の入り口。

万が一入り口が汚れていれば、家中の「安全、安心」が脅かされる。



今回の新型コロナウイルスからも分かる通り「想定を超える事態は起こり得る。」

それを理解していること。

理解した上で、設計を行うこと。


もちろん、全ての安全度を高く取ればお金はいくらあっても足らない。

それぞれの設計者によって解は変わるが

「ここが侵されたら被害が大きい」

という点をよりケアしておくこと。

その取捨選択が設計者の腕。


具体的には『換気』。

生命を、健康を、脅かすリスクとしては、耐震や断熱よりも換気の重要度は高いかもしれない。

僕はそう考えている。

シックハウス問題からの学びを忘れてはいけない。


換気設計は、リスクを抑えられるシンプルな設計を心掛けたい。





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その②に続きます。

家計、家を建てるリスクの再確認、、、



-「超高断熱の小さな木の家」escnel design-





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村松 悠一 一級建築士
エスネルデザイン代表

新潟の気候に合った「暖かい小さな家(エスネル)」を提案している。

趣味:家族旅行・カフェ巡り・夕日ドライブ・息子と娘と遊ぶこと♪


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