ゆうです。
S邸の解体報告その③です。
床下地のやり直しと金物の検査→是正について。
中古住宅は確認点&修正点がたくさんです!
外壁を剥がし終えたS邸。
(22年経過の既存防水紙はおおよそ問題は無いようだった)
さて、S邸は床が傾いているという問題が発覚していました。
S邸リノベーション。11「インスペクション実行『室内②床』。」
インスペクションの結果、最低部と最高部の差は5cm以上あることが分かりました。
考えられる原因として
①地震によって基礎の上の構造が傾いた。
②地盤沈下によって基礎ごと建物が傾いた。
③完成時から傾いている。(施工不良)
がありましたが床下を調査し「床下地の取り付けに間違いがあった」
(→③完成時から傾いている(施工不良))
であることが分かりました。
S邸リノベーション。12「インスペクション実行『室内③床下』。」
③であれば「床下地を直せば直る」話になります。
(原因が①や②の場合、床の傾きだけでなく、基礎や構造体へのダメージが考えられるため大問題→中古購入はお勧めできない。ということになっていた可能性あり)
床を剥いだ1階の様子。
この取り付け高さにズレがあったため床が傾いていた。
【ビフォー】
これが、、、
【アフター】
床下地(大引き)の高さを水平に直し、束(大引きを支える部材)を木製から調整の効く金属製に交換した。
(とても細かい作業。齋藤建築さんありがとうございます。)
2階の床下地(根太)。
2階も同様に床下地の高さ違いがあり、検討した結果これも"全て"設置し直すことに。
リノベーションは本当に手間のかかる作業が多い。
「中古+リノベーションであれば安くなる」と安易に考えるのは危険です。
正しく施工し直すと手間は新築の何倍もかかります。
多くの会社がリノベーションに手を出さないのは、
新築に比べて設計も施工も多大な手間がかかるから。
しかし、良い状態(=屋根や構造の傷みが少ない)の中古住宅であればリノベーションは、限りある資源を有効に利用することにつながります。
そして、新築同等(またはそれ以上)の性能まで高めた上で新築より安く済ませられる可能性があります。
S邸はそういう計画です。
(建物の劣化が少なかった+間取りの大きな変更が少なかったため実現できた。)
S邸リノベーション。21「工事スタート!超高断熱のS邸の性能。」
撤去されたグラスウール(断熱材)
通気層も防湿層もなかったが、カビは見当たらなかった。
その他................
浴室周りの土台。
水漏れにより一部が腐朽していた→新規土台に交換。
金物の調査。
正しく施工されていないものがほとんどだった。
金物の入れ替え・設置し直しなど、一箇所一箇所確認し現場に依頼する。
筋交い(地震に耐える部材)は金物施工されていなかった。
(ゼロから構造補強をし直す計画のため期待はしていなかったが)
金物施工が義務化されたのは2000年。
(この建物は1996年築)
今までの地震から、筋交いは金物施工しないと地震時に効果を十分に発揮できないことが分かっている。
基礎と土台をつなぐアンカーボルト。
既存の座金が小さいものだったので、地震時に土台がめり込みにより耐えられるよう大きなものに交換する計画とした。
また、ナットが緩んでいる箇所も見られた。
(→これから新築を建てるなら緩みづらいナット+座金を選定したいもの)
座金交換後。
構造柱となっていた床柱(2階の梁を支えていた)。
一般的には床柱は化粧柱(構造柱でない柱)であることが多いため撤去する予定だった。
しかし、撤去できない構造柱であることが分かり計画を変更することに。
(柱は新規柱に入れ替える)
リノベーションは、解体(構造材を確認)してから間取りが確定する。
そのため、解体後に「間取りを検討し直し→変更」する必要が出ることもあり気が抜けない。
リノベーションも新築も考え方(構造・断熱など)は同じですが、やり方は全く違うことを身を持って学んでいます。
解体してみないと工期やコストがはっきり分からないこともあり、新築以上に非常に難しい工事であることを痛感しています。
(S様には何度もご検討頂きお手数をお掛けしております、)
しかし、大変なことも多いですが、その分やりがいを感じます。
構造補強案が定まりひとつの山場を超えましたが、まだまだ工事は続きます。
これからも気を引き締めて監理していきます。
-「超高断熱の小さな家」escnel design-
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