2018-05-15

【秘訣】エコキュートの配置・運転音問題対策


ゆうです^^

2017年末に「エネファームの運転音によって、不眠などの健康障害を発症したとする事案」の検証結果が消費者庁によってまとめられました。

同様の訴えはエコキュート(給湯器)でも上がっています。

消費者庁では「運転音が申し出者の健康障害の発生に関与している」と報告しています。(2014.12)

エコキュートの運転音にはどのような注意が必要なのるのでしょうか。




エコキュートとは「深夜電力を利用した給湯器」の愛称です^^

開発の背景には

「原発で発電される深夜電力が有効利用されていないため有効活用したい!」

という狙いがあります。
(原発が止まった今「どうなの?」という話は長くなるので割愛)



エコキュートは深夜電力を使用するため、深夜に動きます。

動くといってもエアコンの室外機と同じようなものです。

深夜に動く室外機(左)。(パナソニックさんHPより)




エコキュートの運転音は約40デシベルほど。(人間の会話は60デシベルほど)

運転音は大きくはないのですが深夜に動くため、気になることはあるかもしれません。

また、人間一度気になってしまうとどんどん気になってしまうもの。
(音の問題は個人差が大きい)

自宅だけでなく、ご近所さんとのトラブルを避けるためにもエコキュートの配置は慎重になる必要があります。



※消費者庁がまとめた「家庭用コージェネレーションシステムから生じる運転音により不眠等の症状が発生したとされる事案」では「断定はできないものの関連性は否定できない」と結論付けている。
(エコキュートは家庭用コージェネではないが同様の問題として考えた。)



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消費者庁にはエコキュートの運転音に対する相談が112件あったそうです。
(2009.9~2014.2の期間。不眠、頭痛、耳鳴りなど)

エコキュートの出荷台数は500万台以上(2016.3)なので相談の割合としては非常に少なくはあるのですが、相談件数は氷山の一角でしょうから運転音の問題は慎重に考える必要があります。



ではエコキュートの運転音にはどのような対策がとれるのでしょうか。



ザックリとですが

・室外機の配置を考慮すること。
 →実際の運転音を軽減する


・室外機に注目させないこと。
 →室外機が見えることで過敏に反応してしまう感情を軽減する。


が挙げられます。





具体的な話へ進みます。


【対自宅の運転音対策】



〇室外機を壁付けしないこと。
→壁を通して振動が室内へ伝わる。それを防ぐ。

具体的には、室外機を地面置きする。振動しづらい基礎に設置する。など。



〇寝室から離すこと。
→特に2階リビングなどで寝室が1階にある場合は要注意。



〇換気扇など開口から離すこと。
→開口部からの運転音の侵入を軽減させる。



そして、

〇家の断熱性・気密性を上げること。

これは運転音対策として行うわけではありませんが、断熱性・気密性の高い家を建てることは同時に「遮音性」の高い家を建てることにもなります。






続いて、


【対隣家の運転音対策】



〇相手の寝室から離すこと。
→特に築年数の経っている隣家の場合「遮音性」が低いことも考えられるため要注意。
・平屋だと寝室が1階のため要注意。
・隣家までの距離が近い場合も要注意。

新興住宅地ではなく、旧市街地に新しく家を建てる場合は注意レベルが高いですね。



〇相手の換気扇など開口から離すこと。
→開口部からの運転音の侵入を軽減させる。



〇相手の居室から見えづらいよう配慮すること。
 →過敏に反応してしまう感情を軽減。
 ex.相手の居室に向けて配置しない。向ける場合は目隠し塀などを建てる。

室外機(エアコン)の前に目隠し塀を設置した例。(T様邸より)




また、運転音対策ではありませんが、

〇相手の庭(樹木)に向けて室外機を配置しないこと。

も重要です。

これは、室外機にはファンがあり、冷風が発生するからです。

この冷風を樹木が浴び続けた場合、最悪その樹木は枯れてしまうかもしれません。

ご近所問題にならないよう注意が必要です。


逆に、室外機の周りを囲いすぎるとエコキュートの給湯効率が落ちてしまいコストパフォーマンスが落ちます。

室外機を隠すために、室外機を板などで覆っている家も見かけますが△です。

バランスが大切になります。



赤丸がエコキュートの貯湯槽。黄丸に室外機がある。(T様邸より)


貯湯槽は隣家に向いて配置していますが、室外機は隣家のない裏の道路へ向けています。

また、貯湯槽にも室外機にも屋根を設けることで、夏の日射冬の積雪の影響による効率ダウンを低減できるよう配慮しています。






室外機に限りませんが、「音」「匂い」「光」を発生する設備は、隣家の方に不快な思いをさせるリスクがあります。

ご近所との良好な関係を築きあげる上でも、設備の選定や配置は経験に基づいた設計的な配慮が必要になります。







おまけ................

最後に、日本冷凍空調工業会から出されている「家庭用ヒートポンプ給湯機の据付けガイドブック」をご紹介します。
(画像は一部抜粋)













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村松 悠一(ゆう)
エスネルデザイン代表(設計士)

前職での設計格言シリーズ。
:「全てに根拠を持つ→人に説明できる。」


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