2018-02-20

【秘訣】「タイル外壁ってどうなの?」35年後の張替えを想像する。


ゆうです。

【家づくり金言】

「生涯ノーメンテで済むものはない。」


ということを理解して家づくりを進めること。

外壁材や屋根材を決める際に、これがとても大きなポイントになります。




先日、友人から


タイルの外壁ってどうなの?」

「営業マンが一生メンテナンスが要らないって言ってたんだけどホント?」


という話を受けました。


この手の話はよく聞きますが、ハッキリ言います。


生涯ノーメンテで済むものはありません。


営業マンが巧みなのは「タイル」自体は一生メンテナンス不要なのでウソはついていないこと。
(タイルは1200度程の高温で作られるためほとんど経年劣化しない。)


タイルはノーメンテですが、「タイル外壁」はメンテナンスが必要です。

そして、僕は

タイル外壁はお勧めしていません。





家は30~35年後にはメンテナンスが必要になります。

豊かな暮らしのつくり方。14 ー『新築30年後にかかる費用。』ー



この一番の理由は、

外壁の奥の防水紙が劣化するからです。



35年後に防水紙のメンテナンスをしてあげないと雨漏りリスクが高まり、柱や土台などの構造材が腐る、シロアリに食われるリスクが高まってしまうということ。


防水紙とは、こういうものです。
最大手デュポン社の「タイベック」。20年保証が付いている。


外壁の中身。(住宅保証機構-設計施工基準より。一部加筆)
モルタル部分にタイルが張られる。透湿防水シートが防水紙のこと。
外壁の隙間から入ってきた雨水も防水紙が防ぐ。
防水紙は防水の最後の要となっている。



外壁材のタイルは劣化せずともタイルとタイルの間の目地は劣化します。(ヒビが入る)

タイルの目地にヒビが入り、その下の防水紙が劣化し穴が開けば、雨は壁内に入ってきます。





住宅の営業マンは新築提案時には35年後の話はほとんどしません。


したとしても、


「この外壁は汚れが付きづらい○○コーティングがされているので基本的にメンテナンスは不要(少ない)ですよー。」


と言ったくらいです。


本当に重要なのは雨から柱などを守っている防水紙なのですが、

防水紙になにを使っているかの説明はほとんどありません。


防水紙にもグレードがあり耐久性が違います。

本当は外壁のグレードよりも防水紙のグレードを上げたほうが家が長持ちする可能性は上がると思います。


しかし、おそらくメーカーのセールス戦略としては、

「雨漏り」よりも「美観・豪華さ」を売りにするほうがセールス的に効果があるということなんでしょう。


よくある「窯業系サイディング」という外壁は10年もすれば汚れてきます。

一方タイル外壁は見た目はわりときれいなままです。

一見すれば

「窯業系サイディングじゃなくてタイル外壁にすればよかったー。」

と思うかもしれません。



メーカーの営業戦略はそれはそれでいいと思います。

「美観や豪華さがあったほうが家は素敵だ。」と考えるのも理解できます。


しかし、ここにはひとつ盲点があります。


それは、


35年後の防水紙の張替え時にかかるメンテナンス費用についてです。



どういうことかというと、

タイル外壁にしてノーメンテで美観が良く35年過ごせたとします。

しかし、現在の防水紙の寿命は20年~30年ほどです。

これは時間が経てば替えなければなりません。

そして、防水紙を張り替えるには外壁を撤去しなければなりません。



そのときに「タイル外壁」だと多額の費用がかかります。

撤去費用、処分費用、新規張替え費用、、、

35年後に大きなコスト負担になります。


現実的にはきっと多くのタイル外壁の家が、

35年後も防水紙は替えずに、タイルの目地の補修をする程度でお茶を濁しているのでしょう。

しかし、ハッキリ言ってタイル目地のヒビを全てみつけて完全に補修することはほぼ不可能です。

だからこそ、最後の防水の要となっている防水紙が重要なんです。



100歩譲って、35年後も防水紙の張替えはせずに、タイル目地の補修だけで済ますとしましょう。

しかし、35年後にはサッシの交換があります。


サッシはタイル外壁の奥に留められているため、サッシを交換するためにはサッシまわりの外壁を剥がさないといけません。

いずれにせよお金がかかるという話です。




サッシ交換にせよ、雨漏りにせよ35年後に一気にやり直す場合はまだいいかもしれません。



しかしこれが15~20年のうちに起きたら、、、











タイル外壁は、時間が経ってもきれいで豪華ですが、

その裏には

メンテナンスのしづらさ



張り替え時の多大なコスト

がある。


「35年後のメンテナンスを想像して外壁材を選ぶ。」

ことが良い家づくりの秘訣ですという話でした。






では、外壁はなにがいいのか。

長くなってきたのでそれはまた次回に^^



おまけ................
(住宅保証機構-設計施工基準より。)

全体の事故のうち壁からの雨漏りは7割以上!
いかに外壁の防水が重要かがわかる。


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村松 悠一(ゆう)
エスネルデザイン代表(設計士)

マイカップ:マリメッコ(ウニッコ:赤)

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