2018-02-06

【秘訣】2018年の積雪から空調を考える。「低温暖房能力」


ゆうです。

前回、ここ数日の異常積雪から「構造」を考えました。
 →【秘訣】2018年の積雪から構造を考える。「設計積雪量」

今回は「空調」について考えたいと思います。

グラフは新潟市の日平均気温の推移を示したもの。
赤線(過去4年平均)青線(2018年)が大きく下回っている。

ポイントは「氷点下になっている日が多い。」ということ。

(新潟では例年最低気温が2℃を下回る日は数日しかなかった。
 今年の氷点下の日数は少し異常。→水道管の破裂がそこらじゅうで起きた。)



氷点下になると空調にとってなにが問題かというと、


・エアコンの効率が下がる!
・発揮できる能力が下がる!

ということ。



①効率が下がる。

エアコンはヒートポンプという仕組みで動いています。
簡単に言えば、1の消費電力から4倍とか6倍とかの暖房効果が取り出せる仕組みです。

1の消費電力から1の暖房効果しか取り出せない電気ストーブなどに比べると、環境負荷が少なく経済的です^^

その4倍とかの効率が、外気温が低くなるにつれて3倍とか2倍とかまで落ちこんできます(T_T)

効率が落ちる理由は、

①外気温と設定室温の温度差が大きくなるため(負荷が増すため)
外気温4℃~室温22℃なら差は18℃だが、外気温-2℃~室温22℃だと差は24℃。差が大きいほうがエアコンにとっては辛く効率が落ちる。

②雪が室外機に入り込み熱交換フィンを冷やすため(外気温以上に温度差がつくため)
これは融解熱の影響によるもの。
1kgの氷を溶かすには、1kgの水を80℃まで上げるのと同量の熱量が必要。
氷を溶かすには想像以上に多くの熱量がいる。逆に言えば、雪が解ければそれだけ多くの熱が奪われている。

③エアコンの室外機に霜がつきやすくため。
熱交換フィンが冷えれば霜が付く量が増える。霜取り運転をする割合が増えればその分暖房効率は落ちる。



効率が下がるということは、
暖房費が余計にかかる!ということです。




続いて、


②発揮できる能力が下がる。

エアコンは外気温が低くなるにつれて発揮できる能力が下がっていきます。

先日我が家で購入したエアコン(6畳用)。
暖房能力(外気温7℃時)は最大3.9kWだが、
低温暖房能力(外気温2℃時)は最大2.8kWと発揮できる能力が落ちる。


エアコンを選定する際にはこの低温暖房能力が必要能力以上かどうかを見極める必要があります。


しかし、今後はそれでは不足かもしれません!


僕は「新潟では外気温2℃以下になる時間は多くないため、低温暖房能力が足りていれば良し」と考えてきました。

しかし、この冬で新潟でも数日間連続で氷点下になることがわかりました。
1月末~2月頭の平均気温。
新潟、柏崎ともに2℃~-2℃。
1/24~1/26には平均気温が氷点下である日が3日間続いた。


僕の師匠が行ったエアコン調査から、
外気温-4℃のときの暖房能力は、外気温2℃のときの暖房能力の約60%まで落ちることが分かっています。

また、雪が室外機に付着することを考慮すると暖房能力はカタログの数値からさらに落ちます。


これらを踏まえ、エアコンの選定方法をどう考え直すか。

・まだ2018年冬の途中であること。
・この冬と同様の冬がどの程度の頻度で起きるか明確でないこと
などから、現時点で結論を出すことは出来ません。



しかし、わかっていることはあります。

最悪の事態は

「選定したエアコンで暖をとれなくなること。」

 →寒さから体調が悪くなること。健康を害すこと。



これは、ここ数日我が家はエアコン暖房をしていましたが、特に問題を感じませんでした。
(1日中過ごしている妻に聞いた。)

外気温-2℃ほどでもエアコンで暖を取ることはできた。→OK

ひとまず「問題なし」としておこうと思います。

これは、エアコンを24時間連続運転で使用しているため、部屋の壁や家具などが暖まり蓄熱していた影響が大きいと思われます。

また、室外機の位置が雪が積もりにくい屋根下であることも影響していると思われます。

屋根下の室外機(写真下)。(寝室の室外機(写真上)は雪がかぶっている。)




今後の課題をまとめると、

・暖はとれてもエアコンの効率は落ちているため、暖房費は増える。

・24時間連続暖房でないと暖がとれない可能性がある。

・外気温-2℃以下になった場合はわからない。



もし今後、現在よりも厳しい気象状況が起こる場合には、

新潟では豪雪地以外不要と考えていた「寒冷地用エアコン」の採用が必要になるかもしれません。

※寒冷地用エアコンは、
・低温暖房能力が氷点下-10℃以上でも高いこと。
・室外機にヒーターがついているため霜取り運転が少ないこと。
が特徴だが、その影響で効率は落ちる。
よって必要がない外部条件なら寒冷地用エアコンでないほうが経済的。



いずれにせよ

「新潟の気象条件を加味して空調設備を選定しているか。」

が良い家を建てられるかどうかの分かれ道かもしれません。

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