2018-11-10

S邸リノベーション。26「耐力壁のクギ工事監理!」


ゆうです^^

S邸の工事報告です。(9月上旬頃)

構造の要となる「耐力壁」の施工監理です!

設計事務所の工事監理業務の中でも非常に重要なポイントです。




今回、S邸では耐力壁に「モイス」を使用しています。

モイスは高倍率の耐力を持ち、防火性能も高い耐力壁です。

(外壁の種類に寄らない防火認定を取っているため板外壁と相性が良い)



ちなみに、サトウ工務店さんでは耐力壁「モイス」だけでなく「内装用モイス」も使われています^^

ケンチク探訪♪ 07『井土巻のコートハウス(サトウ工務店さん)』


既存タイベックを剥がしながら順番にモイスを張っていく。
(モイスはとても重いため施工は大変!大工さん、本当にお疲れ様です!)

エスネルデザインの業務はモイスの施工の監理。

具体的には「クギの種類」「クギのピッチ(間隔)」「施工精度」を一本一本確認していく。
(クギの数は合計数百本以上!)

「壁倍率(強さ)」によって「使用クギ」や「取り付けピッチ」はそれぞれ異なる。
構造計算で指定した壁倍率の仕様になっているかを現場で目視で確認していく。

間違いがなく施工されているかのダブルチェックが出来るのが「施工」と「設計+監理」が分離された建築方式のメリット。

施工の最終確認を設計者が行うことが出来ます。

「壁倍率2.7」→クギ種類:N50、クギピッチ:200mm(中通り)の確認。

「壁倍率3.8」→クギ種類:CN50、クギピッチ:75mm(外周)の確認。




また、クギのモイスへのめり込み具合も監理していく。
(上の写真は必要以上のめり込みがなく適切な施工。)

「モイスへのクギのめり込みは1mm未満」ととてもシビア。
大工さんは一本一本神経を使いながら留めつけていく。


なぜめり込みがいけないのか?


それは「クギとモイスが接している部分の長さ」で地震力に耐える力が決まるから。
(めり込みが大きければ接している長さが短くなり、地震に耐える力が弱くなってしまう)

このあたりを知らない施工者・設計者は少なくなく、また、監理も疎かにされがち。

「設計者も現場監督もクギの施工の監理をせず、全ては大工さん任せ」となっている現場も少なくない。

そして、大工さんの中には「強めに打ち込んでおけば良いだろう」と多少めり込ませて打つ人も、、、


「たかがクギ一本」と思われがちだが、その数が多ければ設計どおりの耐震性が発揮できないリスクが高まっていく。

耐力壁のクギの施工監理はとても重要です。

「縁からの離れ長さ」も確認する。(12mm以上→OK)
これが短いと割れにつながり、地震時に所定の耐力が発揮出来くなる可能性が。

モイスが貼られた外周部(内部より)。
新旧の柱と下地材の共演が素敵^^

建物内部では「構造用合板」を耐力壁に使用している部分もある。
(「壁倍率4倍」→クギ:CN65、ピッチ:200mm以下(中通り))

筋交い部分の金物も監理していく。

筋交いは「無垢材」。
金物だけでなく、材に大きな「節」等の問題がないかも一本一本監理していく。

サッシも搬入されました。

南面の大開口にはFIXガラスがはまり、眺望と採光を確保する。

ダイニングテーブルに光を導く東面の壁にも大開口FIXガラスが。
(すでに設置済み。とても良い感じです^^)





設計事務所の工事監理業務の中でも「耐力壁のクギの監理」は非常に重要なポイントになります。

壁に隠れて完成後には見えなくなってしまう部分。

丁寧に施工することはもちろんのこと、その監理(ダブルチェック)が大切です。




【追記】................

業界紙である「日経ホームビルダー」さんの2018.11月号にも耐力壁へのクギに関する記事が書かれていました。

家を工事するのは機械ではなく「人間」 。
ミスもある。(知識不足もあるかもしれない)

最終的には設計者(監理者)のチェックにより、必要に応じて是正措置を講ずることが求められる。

詳しくは「日経ホームビルダー」さんを。
読みやすくて参考になります。

-「超高断熱の小さな木の家」escnel design-

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