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住宅を建てるとはどういう影響があるのか。
社会のことを考えた家づくりとは。
住宅(建物)を建てることは、
『環境に与える影響。』
『経済性(支出)に与える影響。』
がとりわけ大きい。
今回は「環境に与える影響」について書こうと思います。
『ライフサイクルアセスメント(LCA)』という言葉がある。
簡単に言うと、
「ある製品に対して、製造→使用→廃棄するまでに掛かったトータルの環境負荷を算出して、製品の良し悪しを評価する手法」のこと。
製造時にかかるエネルギーだけでなく使用時にかかるエネルギーも考える。
実際、建設時にかかるエネルギーよりも居住時にかかるエネルギーのほうが何倍も大きい。
自ずと、
『住宅で消費するエネルギーを減らしたい。』
というテーマが見えてくる。
このテーマを突き詰めていくと、
単に「断熱性を高める」ということだけでなく、
「エネルギーをどう得るか。」
端的に言えば、「原発をどうとらえるか。」という大きな問題にもつながってくる。
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※原発について書きますが、原発の是非を問う主張は含みません。
あくまで「住宅と原発のつながり」を書こうと思います。
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(感情的な議論の段階とも言える)
原発「No」であれば電気代を上げる必要がある。
(日本にエネルギー資源がないのだからしかたがない。)
(自然エネルギーは不安定で普及率もまだまだ)
電気代が上がるとなれば、直接、原発に対しての議論の次は、
電気代アップに対して「Yes」か「No」かの議論の段階になる。
電気代アップは「No」という人が多いだろう。
問題は、その時に断熱性が低い家だと、電気代アップが大打撃になってしまうということ。
電気代アップ→暖房費の節約→快適な環境の損失→→健康寿命の短縮
となってしまう可能性がある。
(正直、今の世の中には断熱性が十分でない家の方が多い。
これは新築であっても同様。
電気代が上がったときを想定した断熱性まで言及している設計士は少ない。)
そうすると、原発「Yes or No」は、電気代アップ「Yes or No」に議論がすり替わる恐れがある。
全く目的が異なる。これでは本末転倒だ。
そういったことにならないためにも、
冷暖房のエネルギーをなるべく低減できる(=電気代アップに比較的対応できる)高断熱の家を建てることは有意義なことだと思う。
光熱費のためだけでなく、地球の環境のためにも。
冷静な議論のためにも。
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住宅が持つ社会的責任はとても幅広くとても大きい。
そして、その影響は長時間である。
(建築から解体まで数十年)
また、住宅の設備の選定は、実は環境的(→政治的)な主張をはらんでいる。
例えば、深夜電力を使ったエコキュートを選ぶ人は「原発Yes」を表明していることになるのかもしれない。
(深夜電力は原発ありきのシステム)
「そこまで考えていなかった。」
「営業の人はなにも教えてくれなかった。」
では、なんでも調べられるこの時代済まされないだろう。
例えが極端になったが、住宅はそれだけ大きなテーマも持っているということ。
デザインや使い勝手だけではないということ。
「社会に与える影響がとても大きいんです。」ということを伝えたくてリスキーな内容ですが書きました。
社会、世界のために自分はなにができるのか。
そういう判断基準で家づくりを考えてみることもまた有意義なことでしょう。
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