2018-08-28

「空き家問題」を考える。-中古リノベの有効性の探求-


ゆうです。

現在、空き家が増え続けています。

前回「空き家問題」について触れました。


「空き家を利用するのか(中古リノベーション)どうか」

「新築するのかどうか」の判断にも大きな影響を与えます。

総務省HPより。


全国の空き家率は増加していて、
空き家数820万戸
空き家率13.5%となっています。(H25年)

これが現在、ニュースや雑誌などでもよく取り上げられている数字です。



これだけ見ると、


「え!今ある家の1割以上が空き家なの??」

「だったら新築を建てるのってもったいない??」

「空き家をなんとか活かせばコストも安く暮らせる??」


と感じるかと思います。
(僕はそう感じました。)


しかし、往々にしてこういった数字にはウラの意図が絡んでいます。


ウラの意図とは、

国は空き家問題をなんとかしたい
=空き家を片付けたい。
という意図です。


現在「危険な空き家が近隣に迷惑を掛けること」が問題になっています。

持ち主が取り壊さないで放っていることや、持ち主が分からないことなど、国は頭を抱えています。

(H27に「空き家対策特別措置法」が施行され、行政が強制的に空き家を解体することが可能となったが、執行や解体費用回収のハードルは高い)



なので
「空き家が余っているから有効に使えますよ」
という意味ではない。ということ。

(空き家が増えている≠空き家が有効に活用できる)


なので
空き家(中古住宅)をリノベーションする際などは、
専門的な検討を踏まえて非常に慎重に行うことが必要です。


ここを明確に理解しておくことが重要。



裏づけとして、
資料をよく見ると、
「空き家数が820万戸、空き家率が13.5%」の数字には「共同住宅の空き家数」も入っています。

「一戸建て」だけを見てみると、

二次的住宅(別荘など)を除くと、空き家総数は約272万戸。
一戸建て総数は約2,860万戸のため空家率約9%



そして、売却用でも賃貸用でもない「その他の住宅」が空き家総数の8割以上を占めています。

これは極端に解釈すれば、
「一戸建ての空き家の内訳は再利用できない空き家が8割以上である。」ということ。



まとめると、

(再利用できる一戸建ての空き家(売却用・賃貸用)の総数は約41万戸なので)

「再利用できる空き家は全体の約1%ほどしかない」

ということ。
(41/2860≒1.4%)



ニュースの「空家率13.5%」とはだいぶ違った印象を受けたのではないでしょうか。



ここが「空き家問題」「空き家の再利用の可能性」の大きなギャップです。


※逆に言えば、リノベーションに適した中古住宅をみつけられた方は相当ラッキー。
※団塊の世代の住宅放出が始まるため、再利用できる空き家は今後増えていくと思われる。




【ここまでが現状の確認】................



現状では良くないことは明らかです。


極端に要約すると、

「再利用できる空き家はとても少ない」

=「建てた家が上手に資産になっていない」

ということ。


極端に言えば、家にかけたお金が無駄金になってしまっている。

その結果、老後の資金繰りが厳しくなるようであれば残念ですよね。




根底から考えると、空き家問題は、

「リフォームしても住む価値のない家」
(=リフォームに新築を建てる以上にコストがかかってしまう家)

を建ててきてしまったことが原因です。


これは「しかたがない」部分もあります。

耐震性を言えば、数々の震災→検証を超えて、要求性能は高まってきました。

断熱性が重要視されるようになったのもほんのここ数年です。

時代と共に家の性能は向上してきたわけです。


過去を責めても意味はないので「これから先」が大切ですね。

今後、「再利用できない(資産とならない)家」を増やさないためにも、質の高い住宅を作ることが必要です。

(質の高い住宅に必要な条件は前回の記事を)





まとめます。


・空き家は増えているが、再利用できる空き家は実はとても少ない。

・再利用できる空き家の中にも「良い空き家」と「良くない空き家」があるため、中古リノベーションを検討する際は、専門家に相談したほうが良い。

※空き家の良し悪しは「リノベーションがしやすいかどうか」「修繕をする部分が多いか少ないか」など。


・新築を建てるなら「再利用できる家」を建てるべき。

 →それが未来の空き家を減らすことにつながる。



ということでした。






【中古住宅購入の参考までに】................

耐震性の基準が大きく変わったのは1981年です。

そしてさらに改善されたのが2000年です。

ザックリしたことを言えば、2000年以降に建てられた住宅であれば、耐震性の問題は比較的少ないかと思われます。

※基準通り設計していること、きちんとした施工が行われていることが条件
※「耐震性の問題が少ない」とは「倒壊のリスクが低い」という意味であって損傷については別。また地震の条件は個別のため厳密なことは言えない。


断熱性の意識が大きく変わったのは近年です。
(義務化は2020年予定)

それまでの住宅はメーカーの意識の差によって、断熱材の選定も施工精度もまちまちです。



僕は、中古住宅の性能を過信しないようにしているので、
基本的には「新築住宅」か「中古+耐震断熱リノベーション」をお勧めしています。

※「耐震断熱リノベーション」…耐震性も断熱性も新築レベルにまで施工しなおす工事


-「超高断熱の小さな家」escnel design-


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