ゆうです。
「施工品質の崩壊。」
物騒なタイトルのブログを書きます。(真剣)
現在勤めている事務所では「日経ホームビルダー」を定期購読しています。
この雑誌は、基本的にプロ向けの内容なのですが、
とても突っ込んだ記事が多く面白いです。
2017.7月号では、住宅の施工品質の今後の低下に警鐘を鳴らしています。
僕も、これから
住宅の粗雑な施工実態が次々に明らかになっていく
と思っています。
そのわけは、ざっくり言うと、
○職人の数の減少
○施工の複雑化、要望の多様化
○インターネットの発達、SNSなどリアルタイムメディアの一般化
が上げられると思います。
詳細な声としては、記事に書いてあるように、
「人員不足と値引き競争からくるコスト不足により、適正な人員を割り当てられなくなり、一人当たりに能力を超えた業務が要求されている。」
「担当する現場が多すぎてただこなしているだけになり、若手監督や職人の技能レベルが上がらないままで若手を育てるシステムが崩壊している。」
「ローコスト住宅が増え、職人の単価が上がらない。コストが厳しければ質の悪い業者がはびこる。」
「技能工が高齢化し、絶対数も不足している。」
などが上がっています。
これは、大手だからと言って例外ではありません。
大手ハウスメーカーも施工は現地の大工や職人に依頼します。
大手ハウスメーカーは、
「年間○棟をあなたに発注するから、そのかわりに△△円くらいの(低い)単価でやってください。」
というような契約を職人と結びます。
職人は、年間安定した受注と引き換えに、低い単価の仕事を数多くこなすことになります。
そうすると、自ずと記事に書いてあるようなことにつながりますよね。
僕は、
「大手ハウスメーカーの仕事はもうやらないことにした。」
「うちは大手ハウスメーカーの仕事はしていません。」
という声を大工さん職人さんからたくさん聞いてきました。
これは、
「うちは質も低く単価も安い仕事はしません。質の高く質に見合った単価の仕事をしています。」
という職人さんのアピール(自慢)なんです。
(すべてのメーカーに当てはまる話ではありません。
しかし、ローコストメーカーは往々にして当てはまると思います。)
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現場監督の具体的な話をすると、
ローコストメーカーなどでは、年間10棟、20棟を一人の監督が担当することもめずらしくはありません。
そうすると、
「耐力壁の施工精度の確認」
や
「断熱材、気密処理の施工精度の確認」
などは、一人で10棟以上も担当していれば、
監理が甘くなってしまうのは物理的にしょうがないことかもしれません。
(監督さんの仕事はそのほかにもたくさんあるから。)
でも、建て主からしたら、「しょうがない」じゃすみませんよね!
こういうミスはよくある。しかしだれもチェックしないから真相は闇の中へ、、
熊本地震でも耐力壁の施工ミスが原因で倒壊した家が数多く発見された。
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そして勘違いしがちなのが、
「営業マンがいかに良い人でも、営業マンは工事監理はしません。」
現場にたまに来たとしても、クギの施工をすべて確認するなんてことは絶対にしません。
それは営業マンの仕事ではないからです。
良い家ができるかどうかは
営業マンでは決まりません。
あくまで、現場の職人さんとそれを監理する設計者で決まります。
僕はそういった現場や話をたくさん見たり聞いたりしてきました。
なので僕は「良い家」をつくるために今の設計事務所に入り、
これから工事は請け負わない純粋な「設計事務所」として独立しようとしています。
これは、
『独立した工事監理』
をお勧めしているからです。
「工事」も「設計」も「監理」もすべて同じメーカーに任せるのではなく、
「工事」と「設計・監理」を別の会社が担当する。
これによって、
設計士が現場に対して正しいことを遠慮なしに指摘することができるようになる。
これは、
「設計士が建て主の完全な味方になる」
ということです。
工事と監理が同じ会社だと、正しい指摘ができないこともあるかもしれません。
それは、監理する設計士は、建て主からではなく、会社からお金をもらっているのだから。
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長くなってしまったので今回はここまでに。
興味のある方は日経ホームビルダー2017.7月号を購入してみてください。
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