2017-03-29

豊かな暮らしのつくり方。06ー『中古住宅という選択肢。』ー


以前のブログで、これからの住の選択肢を3つあげました。


今回は、そのうちの『中古住宅に住む。』について書いていきます。






最初にひとつの予測を言います。



数年後には、


「家を新築することは、
 前時代的な発想になる。」


ということです。



「新築する。」という発想自体が古い考えとなる、ということです。






なぜかというと、


これから割と良質な中古住宅の流通量が増えていくからです。




昭和56年に住宅の耐震基準が新しくなり、
それ以前の建物に比べ、耐震性が飛躍的に高まったのですが、
その新しい耐震基準で建てられた家の流通量がこれから増えてきます。



これは、
現在70歳手前の団塊の世代の家が空いてくるからです。


これから先、団塊の世代が70歳以上になっていき、
家が空いていくにつれ、
良質な中古住宅が市場に出回り始めます。


僕の両親がまさに団塊の世代なのですが、
現時点で、
僕は妻の実家で二世帯暮らしをしていく予定ですし、
妹二人は、両方とも地元以外の場所で暮らし続けると思われます。

したがって、僕の実家(新耐震基準、高気密高断熱で現在築20年ながら
十分快適に暮らせる家)は、
父母がいなくなったあとは、住む人がいなくなります。


僕と同じような状況のひとは、(特に田舎には)多いのではないでしょうか。





家が空くことになる引き金は、

住んでいる人が他界する以外にも、

介護施設に入ったり、

街中の小さなマンションに移住したり、

はたまた、
物価の安い海外の国で、年金をもらいながらセカンドライフを送るという
選択肢を選んだりして、家が空くというケースもあるかもしれません。



そのとき、その家が、
耐震レベルが一定以上で、柱や梁などの構造材の傷みが少なければ、
構造的な改修なしに、リノベーションが可能になります。


「中古住宅をリノベーションして住む。」


という選択肢がメジャーになっていくわけです。



質の良い中古住宅の流通量が増えれば、
新築ほどお金をかけなくても、
理想の暮らしが手に入るかもしれません。


そしてこれからは、


「新築よりも、時間の経過した中古住宅のほうが、味わいがあって好み。」


という価値観を持った人も増えてくるでしょう。


僕はそういう感覚があります。

妻の実家は本格的な和室もあり、年月が経った木材の表情は最高です。
この風合いを新築で出そうとしたら、多くのお金が必要ですし、
年月が経った風合いは完璧には再現できません。


一般的に知られている話ですが、
ヨーロッパでは、
新築よりも、既存の住宅のほうが価値が高く評価されています。


今後は日本も海外のように、
良質な中古住宅が流通するに従い、
中古住宅の社会的な価値が向上していくと思っています。
(価値観が変わるまでには、かなり時間はかかると思いますが、)







しかし、現時点ではまだ、
良い条件の中古住宅は少なのも事実です。


耐震レベルが足りていなかったり、
構造材がいたんでいたりすると、
リノベーションするにしても
余計な費用が多大にかかり、


「だったら新築したほうが安くて良いものが手に入るじゃん。」


となってしまうという状況です。


なので、
中古住宅を検討する際には、購入の前に必ず専門家に相談しましょう。

買った後で、「大失敗!!」となってもあとの祭りですから。




しかし、


中古住宅は、掘り出し物を見つけられる可能性がある

のも事実です。


それは、

「その中古住宅は、世界にひとつしかないから」です。


言い換えれば、

その住宅の価値を、高く見るも低く見るも自分次第!



例えば、
古くてだれも手につけないような中古住宅であっても、



「ここからの景色最高じゃん♪」



とか、



「古民家みたいで逆にカッコいいじゃん♪」



とか。



自分が高い価値を感じられれば、
それは、割安の掘り出し物となるわけです。



片田舎の築36年の古屋に住んでいる僕の実感ですが、

「どんな家でも、住んでみれば愛着がわいてくる」ものです。


安く買って、自分なりにリノベーションして、
新築住宅ではできない理想の暮らしを実現するという選択肢も
とても豊かな「住」のかたちだと思います。


※その際にはくれぐれも購入前に、専門家に見てもらってください。
 そして、住み始める前に「断熱リノベ」と「耐震リノベ」は最低限しましょう。
 人間、寒いのだけは何年経っても耐えられませんから。





おまけ。--------------------------


僕は、中古住宅を購入する際に
妥当かどうかの判断のアドバイスと、
断熱・耐震リノベーション設計のできる

『中古住宅購入ディレクター』

になりたいと考えています。


ディレクション(指導、判断、助言、設計)の内容は、


○中古住宅の現況のインスペクション(診断、調査)
 ・老朽具合、雨漏り、腐朽、蟻害、設備劣化等の診断

 
○断熱、気密診断
 ・断熱性、気密性はどのくらいか。
 ・想定光熱費のシミュレーション。
 ・断熱リノベーションをしたときの費用対効果提案。


○耐震性診断
 ・耐震性はどのくらいか。
 ・耐震リノベーションをしたときの費用対効果提案。 


○物件の適正価格の算出
 ・周辺相場からの適正価格の推測
 ・新築建築との価格差。費用対効果算出
 ・売主との価格交渉代理
 ・
 ・

他にも
年間の日当たりシミュレーションや、
内装リノベーションの提案

などなど。


中古住宅の価値の「見える化。」

に携わっていきたいと考えています。




その理由は、


中古住宅(実家を利用した二世帯暮らしも含む)の再利用を促進することは、


「限りある資源の効率的な利用。」


「住にかかる費用の圧縮(趣味などほかのことにお金を使える暮らしの実現)。」



「昔の大工さんが精魂こめて造った家を未来につなげる(日本の原風景、技術を守る)。」



などなど、

様々な価値のあることにつながっていくからです。




今はまだ、中古住宅を購入するということはメジャーな選択肢ではありませんが、

自分の未来、日本の未来、地球の未来を想像し、

中古住宅の可能性を検討してみませんか?





将来の事務所は、
中古住宅を買って、
自分でリノベーションして、
バーとかカフェコーナーも作って
仲間が集まる最高に豊かな空間をつくりたいなーと
ワクワクしている
ゆうでした。